住み心地機能「ハイブリッドソーラー」
1枚の太陽熱コレクターの大きさは幅91㎝×長さ2㎝で、瓦の上に置くのではなく屋根下地に直接取り付ける屋根一体型として開発されたものです。従来の太陽熱温水器のように針金で縛り付けたり、配管が露出することなく、すっきりとした外観を構成します。外部はステンレスと強化ガラスで覆われ、防水処理により雨漏りなどの心配をなくしています。
太陽熱を受ける集熱部分は、選択吸収膜処理(太陽熱で熱くなった際に熱放射を押さえて熱変換効率を高める技術)を施したアルミニウム製の集熱フィンと、集熱フィンに組み込まれた直径7㎜の銅パイプで構成されます。この中を少量の熱媒液(不凍液)を循環させて床下の蓄熱層や貯湯タンクへ太陽熱を運び、蓄えさせます。常時流れる熱媒液の量は1枚あたり約1ℓとわずかなため、全体の重量でもスレート瓦の7割程度という軽さを実現し、屋根構造への負担を解消しています。
熱媒液が運ぶ太陽熱をしっかりと蓄熱するため、床下に15㎝から20㎝のコンクリート層を構築し、つなぎ目なしのシームレス給熱パイプを中心部に埋設します。給熱パイプはポリブテン管を使用します。ヨーロッパで約40年前にコンクリートに埋設する床暖房用の樹脂性パイプとして開発され、全世界で信頼を得て使用されています。
その特性は、自在に曲げることのできる柔軟性を持ちながら荷重や振動に強く、ずば抜けた耐久性を持つことです。コンクリート畜熱層は、住宅金融公庫に定められた土間床構造の仕様に準拠したもので、床下からの冷気や湿気の侵入を防ぎます。土間床にするだけでも通常の床組に比べて室温が2度暖かいという実測データがあり、ソーラーハウスでなくてもお勧めしたい構造です。
天候の悪い日が続くと蓄熱コンクリートは冷たくなり、次の日照があってもなかなか暖まらないだけでなく、建物そのものも冷やしてしまいます。そこで、蓄熱温度の下限を設定し、この温度を下回った時に補助熱源装置(灯油もしくはガスボイラー、ヒートポンプなど)を自動的に運転させ、快適な暖房に必要な最低限度の畜熱温度を維持します。
十分な暖房エネルギーを蓄えた後や、暖房の不要なときには給湯運転を行い、しっかりと断熱された370ℓ容量を持つ「貯湯タンク」の水をお湯にします。
熱媒液はタンクの中の熱交換パイプを循環して暖めますから、水と混じり合うことはありません。タンクはステンレス製で水質の劣化はなく、優れた長期耐久性があります。
ポンプユニットの中ではマイコンが暖房温度やお湯の温度を監視し、最適運転を制御します。コントローラーで指示した温度になるまで蓄熱温度を上げ、設定温度に達すると給湯運転に切り換えます。
このコントロールパネルで設定された温度のもとに、蓄熱運転、給湯運転、補助暖房運転の切換えをコンピューターが制御します。
- A蓄熱上限温度ソーラー運転でこの温度になるまで蓄熱温度を上げます。温度は任意に設定できます。
- B蓄熱温度現在のコンクリート蓄熱層の中心温度を表示します。
- C蓄熱下限温度蓄熱不足の場合、補助熱源装置でこの温度まで上げます。温度は任意に設定できます。
- D補助暖房の許可表示蓄熱温度により補助暖房を自動的に行う不在時など補助運転を中止したい時強制的に蓄熱温度を上げたとき
- E時刻表示現在の時刻を表示します。
- F貯湯タンクの温度貯湯タンク上部の湯温を表示します。台所やお風呂の蛇口を開くと表示された温度のお湯がタンク上部から出て、替わってタンク下部から水道水が入ってきます。表示温度が給湯器の設定温度より低い場合は給湯機が燃焼して設定温度のお湯がでます。
- G給湯併用運転ソーラー床暖房とソーラー給湯を同時に行う設定を行います。床暖房とお湯づくりを同時に行う暖房不要時のみお湯づくりを行う H運転状態現在の運転状態を表示します。